『年間行事』株主総会を終えて
コーポレート・ガバナンスに関連する話題や私自身の関心ごとなどを毎月一回コラム形式で発信していきたいと思います。
今年も3月期決算企業の定時株主総会が6月末に集中して開催されました。
タイトルの『年間行事』は、当たり前という意味と今から書く内容を皮肉って入れました。
今年の注目点は一言で言えば、買収防衛策の導入を盛り込んだ定款変更議案だったのでしょう。(買収防衛策については次回のTOVで触れます。)もちろん、Jパワーやアデランスに代表されるような投資ファンドを中心とした株主からの委任状争奪戦にまで発展した様々な株主提案もありました。
しかし、ガバナンス変革という視点から見れば、世間を震撼させるような大きな出来事は残念ながらなかったように思います。
今春あるガバナンス関連のセミナーで「日本のガバナンスは欧米に比べて(トラックレースに例えると)周回遅れだった。何とかその遅れを取り戻そうと苦心している間に、最近では挽回するどころかむしろ(トラックを)逆走(後退)している感さえある。」と嘆いているコメントが印象的でした。
もちろん、欧米の機関投資家や年金基金運用会社から日本企業のコーポレートガバナンス改革を迫られて、結果後押しされる形でガバナンスが強化された企業もあるかもしれません。
ガバナンスには欧米流も日本流もなく、経営者は絶えず「自社にとって最善のガバナンスはいかなるものか」を株主に対して発信しなければならずまたそのことはユニバーサルだと思うのです。
『かっこいい経営者(唐突ですが)』が自社のガバナンスに対するビジョンを持ち、株主価値を損なう恐れのある買収防衛策とどのように向き合うのか。株主の権利保護や取締役の意思決定の透明性を高める狙いで独立した社外取締役を起用するのか。議決権行使をゆがめていると指摘される株式の持ち合い解消を進めるのか。
すべての答えを導き出すのは、前述した株主からの圧力がかかる前に『かっこいい経営者』がリーダーシップを発揮するより他にないと思うのです。
企業が危機的状況に陥ってもその損害を最小限に留めるリスクマネジメントの観点からもコーポレートガバナンスの確立が企業価値の向上に寄与することは間違いありません。
株主総会が何事もなく終了することだけに腐心する『年間行事』ではなく『かっこいい経営者』が自らガバナンス改革しその成果を株主に披露する場となるような期待を持って今後注目していきたいと思います。